スティーブンス・ジョンソン症候群

スティーブンス・ジョンソン症候群

スティーブンス・ジョンソン症候群

 

 

スティーブンス・ジョンソン症候群の原因はほぼ薬剤が原因とされ、SJSから移行してTENに至ることもある。その多くは薬剤が原因で発症する最重症型薬疹の一つと考えられるが、一部はウイルスや肺炎マイコプラズマ感染に伴って発症する。

 

スティーブンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群:SJS)は、重症型多形滲出性紅斑(erythema exsudativum multiforme major:EEMM)と同義語とされており、これらの皮膚疾患の中で最も重篤とされているのが中毒性表皮壊死症である。 

 

スティーブンス・ジョンソン症候群は高熱とともに口唇、口腔、眼結膜、外陰部に高度の発赤、びらん、出血などの粘膜病変が、さらに全身の皮膚に紅斑、水疱、びらんが認められる重篤な全身性疾患である。 

 

TENはほぼ全身に及ぶ広範囲な紅斑、水疱、表皮剥離、びらんをきたし、表皮細胞の全層性壊死性変化を本態とする最重症型薬疹である。粘膜面にはこれらとともに、うがい、洗眼など開口部の処置が行われている。

 

スティーブンス・ジョンソン症候群の発生頻度は、人口100万人当たり各々年間1〜6人、0.4〜1.2人と極めて低いものの、発症すると予後不良となる場合があり、皮膚症状が軽快した後も眼や呼吸器官等に障害を残すこともある。SJSの初期症状は、発熱、左右対称的に関節背面を中心に紅斑(target lesion等)が出現し、急速に紅斑の数を増し、重症化するにつれ、水疱、びらんを生じ、融合する。

 

一般にスティーブンス・ジョンソン症候群、TENが発症した場合、副腎皮質ホルモン剤の全身投与、あるいは血漿交換療法、ビタミン類の投与、更に二次感染予防の目的で抗生物質製剤投与が行われ、皮膚面に対しては外用抗生物質製剤、外用副腎皮質ホルモン製剤が用いられている。なお、これらの治療は、皮膚科の入院施設のある病院で行うことが望ましいとされている。

 

多臓器障害の合併症(肝障害、腎障害、呼吸器障害、消化器障害等)を来し、死亡率も高く20〜30%とする報告が多い。発熱などの全身症状とともに、多形滲出性紅斑様皮疹(target lesion)、広範な粘膜疹が急激に生じることにより診断は困難ではない。

 

呼吸器障害(肺炎等)や肝障害等の合併症を来し、その死亡率は6.3%との報告がある4)。これら皮膚疾患の発症機序の詳細はいまだ明確ではなく、また、これら重篤な皮膚疾患の発症を医薬品の投与に先立って予知することは非常に困難である。

 

単純疱疹ウイルス、肺炎マイコプラズマ、細菌、真菌等の種々のウイルスや細菌による感染症、医薬品、食物、内分泌異常、悪性腫瘍、物理的刺激などによって起こるアレルギー性の皮膚反応(III型アレルギー)と考えられている。 

 

一方、TENは、発熱や腋窩、外陰部、体幹などに広範囲な紅斑が出現した後、急速に水疱を生じ、水疱は破れやすく(ニコルスキー現象)、全身びらん症状を呈する。医薬品によるSJS、TENに対しては、発熱や発疹等の初期症状を認めた場合、原因と推定される医薬品の投与を直ちに中止することが最も重要で最良の治療法である。 中毒性表皮壊死症(TEN)は、ライエル症候群(Lyell syndrome)とも呼ばれる。

 

II度熱傷に似て、疼痛も著明である。医薬品が原因となる場合が多いとされており、文献によるとスティーブンス・ジョンソン症候群の59%は医薬品が原因と推定されたとする報告や、TENの90%以上は医薬品が原因と推定されたとの報告もある。検査所見では血液、肝、電解質などに異常を認めることが多い。眼、口腔粘膜、外陰部などの粘膜疹を伴うことも多く、検査所見では白血球増多、赤沈亢進、CRP陽性などを示す。

 

しかし、投与を中止してもスティーブンス・ジョンソン症候群、TENへと重症化する場合があるので注意が必要である。なお、類似症状を示す疾患としてブドウ球菌性TEN(staphylococcal scalded skin syndrome:SSSS)や輸血後の移植片対宿主病(graft versus host disease:GVHD)などがある。

 

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