悪性症候群

悪性症候群

悪性症候群

 

 

悪性症候群は中枢のドパミン神経系の急激な機能低下を契機として発症すると考えられており、レボドパ等の抗パーキンソン剤の急な減量又は投与中止により起こることがあり、コムタンの急激な減量又は投与中止により起こる可能性があります。この場合は出来るだけ無投薬の期間を置き,抗ドパミン作用の少ない薬剤(メレリル,ロドピンなど)を少量から注意深く投与していく。

 

発症要因として患者の全身状態が重要となる。輸液を行い,脱水・電解質バランスの是正を行う。その後,多くの疫学調査や臨床研究が重ねられ,その全体像が明らかにされつつある。検査所見では,血清CPKの高値と白血球の増多がかなりの高率で認められる。致死率はかつては20%以上あったが,診断,治療技術の向上に伴い,低下してきている。

 

主に抗精神病薬の治療中に出現する,最も重篤で致死率の高い副作用である。高ミオグロビン血症から腎不全を来したり,播種性血管内凝固症候群(DIC)を合併することもある。対処法としてコムタンを再投与し、悪性症候群の悪化に注意しながら漸減します。

 

発症頻度は報告者によってかなりの幅があるが,抗精神病薬服用患者の約0.2%前後と推定される。ドパミン遮断作用の強い抗精神病薬ほど,本症候群を惹起しやすい。精神状態の悪化に伴う疲弊や脱水によって,薬物動態が変化することが発症に深く関与する。

 

発症機序として,ドパミン・セロトニン不均衡説,ドパミン・ノルアドレナリン不均衡説などが提唱され,ドパミンと拮抗関係にある様々な神経系の均衡が薬剤によって乱されることが原因と考えられている。

 

抗精神病薬投与中に,37〜39℃の発熱とともに,著しい筋固縮,振戦などの錐体外路症状,頻脈,発汗,血圧変動などの自律神経症状が比較的急速に出現する。高熱に対し解熱薬は無効であり,氷やアルコールで全身を冷やす。

 

原因と思われる薬剤の投与を直ちに中止し,全身管理を開始する。適切な処置を講じないと無動,昏迷,昏睡状態に至り,体温も40℃以上となる。症状として高熱、意識障害(昏睡)、高度の筋硬直、不随意運動、ショック状態、激越、頻脈、不安定血圧等があらわれ、さらに二次的にCK(CPK)上昇を伴う横紋筋融解症、そして急性腎不全へ進展することがあります。

 

急激な増量や種類の変更,筋肉内注射は注意する。1960年にフランスのDelayらにより,Syndrome malin(サンドローム・マラン)として最初にその概念が提唱された。

 

薬物療法としてはダントリウムとパーロデルが有効である。輸液が不十分であると脱水状態から循環虚脱を起こす。また、体冷却、水分補給等の処置を行います。近年,抗うつ薬や制吐薬などによる症例も報告されている。

 

本症候群が改善しても基礎疾患の治療のため,抗精神病薬の再投与が必要な場合が多い。嚥下障害から喀痰の排出ができなくなり,肺炎を起こしやすい。

 

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