血球貪食症候群

血球貪食症候群

血球貪食症候群

 

 

血球貪食性リンパ組織球症(hemophagocytic lymphohistiocytosis HLH ,hemophagocytic syndrome HPS)とは発熱、肝脾腫、出血傾向、発疹、神経症状などの高サイトカイン血症(サイトカインストーム)によるマクロファージ活性化兆候を呈し、骨髄、リンパ節、肝、脾などの網内系臓器に血球貪食細胞を認める症候群とされています。VAHSの原因となるウイルスはEBウイルス、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、アデノウイルス、パラインフルエンザウイルス、麻しんウイルスパルボウイルスB19、風しんウイルス、コクサッキーウイルス、HIVなどが報告されています。感染症が原因となって発症するものをIHPS、ウイルスによるものをVAHSと呼びます。血球貪食症候群の予後は特発性HLHは予後が悪く、重症に経過します。

 

血球貪食症候群の原因は、家族性、特発性、2次性のものがあり、2次性のものは悪性腫瘍、感染症、自己免疫疾患、薬物、膠原病などが考えられています。この中でEBウイルスが頻度が高く、他のものより重症です。血球貪食症候群の診断は赤血球減少、血小板減少、白血球減少、高フェリチン血症、高LDH血症などを認め、骨髄、髄液、、肝、脾、リンパ節などの著明な血球貪食像を伴う、組織球の増殖像から総合的になされます。

 

血球貪食症候群の症状は、7日以上持続する発熱、肝腫、脾腫、リンパ節腫脹、中枢神経症状、発疹、黄疸、浮腫(特に眼瞼)や出血症状が見られます。これらの全身症状は高サイトカイン血症のために起こると考えられています。EBV-AHSに対してはDNA合成阻害剤とEBNA合成抑制作用を持つエトポシド(VP-16)が有効で、これにデキサメタゾンを加えた治療を行い良い成績を上げています。

 

血球貪食症候群の治療は、EBウイルスによるものは重症例が多く、それ以外は軽症のことが多く、自然治癒するものがかなりあり、治療の不要なことがあります。その他は国内の重症HLH登録例の解析で4年生存率が67.2%となっていて治療成績の向上が見られます。高サイトカイン血症をコントロールすることが大切で、抗ウイルス薬、副腎皮質ステロイド剤、γグロブリン製剤、シクロスポリン、血症交換などを行います。

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