廃用症候群

廃用症候群

廃用症候群

 

 

廃用症候群になって全身の機能がどんどん低下すると、その結果ますます体を動かさなくなり寝たきりになるという悪循環を起こすことになります。 

 

ここで興味深いデータを紹介します。脳卒中片麻痺の方で、外来リハビリテーションを機能訓練中心で受けていたグループと日常生活の過ごし方の指導を中心に受けていたグループの退院から5年後の比較を行った所、機能訓練中心で受けていたグループは半数近くが生活機能が低下してしまったのに対し、生活指導中心に受けていたグループで生活機能が低下していた人は1割以下であったということです。

 

この「安静(活動性低下)の弊害」を強調した概念が廃用症候群で、身体の全部あるいは一部を使用せずにいること(活動性低下)によって、全身あるいは局所の機能的・形態的障害を生じることをいい、米国の早期離床・早期歩行およびリハ医学の経験や研究で確立された。 このように廃用症候群になって全身の機能がどんどん低下すると、その結果ますます体を動かさなくなり寝たきりになるという悪循環を避けるために適度な運動で体を動かすことが大切なのです。

 

従って廃用症候群は予防することが何より重要であり、万一発生した場合にもできるだけ早くそれに気付いて悪循環を断ち切ることが重要です。安静、臥床は疾病治療において重要であることは一般にもひろく知られている。

 

予防・治療のためには、必要以上の安静をとることを避け、その状態にあわせて安全な局所および全身の活動性維持、向上をはかることが重要である。廃用症候群とは、病気やケガなどがきっかけで、体を動かさないと筋力が低下したり、関節が固まって動かなくなったり、心肺機能が低下したりする等の全身に発生する諸々の不具合症状のことを言います。

 

1日間の安静によって生じた機能低下を回復させるためには1週間かかり、1週間の安静により生じた機能低下を回復するには1か月かかるともいわれます。 普段健康な人でも、体を動かさないと筋力の衰えは意外と速く進行します、ましてや高齢者の場合は、歩ける人が動かなかったために寝たきりになり生活を介助に頼らざるを得なくなることもあります。特に高齢者ではおこり易く、一旦おこると若年層に比べて治療(回復)は困難であり、「ねたきり老人」を作る大きな原因である。 

 

廃用症候群の予防には、病院などでの機能訓練が有効であり、機能訓練は退院後も続けないと悪くなってしまうという誤解があるように感じています。また運動不足病、不動症候群などの名称も用いられる。

 

しかしながら安静・臥床には同時にマイナス面がある。さらには、体中の関節が硬くなり、体を起こそうとするとめまいがして(起立性低血圧と言います)座ることや歩くことができなくなってしまいます。

 

普段の生活で、寝てばかりいて、「危険」や「大変」を理由に過剰な介護を受け、代わりとして時々運動や訓練を行うのでは意味がありません。 病気やケガなどがきっかけで、体を動かさないと筋力が低下したり、関節が固まって動かなくなったり、心肺機能が低下したりして臓器も衰え結果全身に発生する諸々の不具合症状を廃用症候群といいます。諸症状は極めて多彩であるが、筋力低下、筋萎縮、関節拘縮、骨粗鬆症などの局所的廃用によるもの、心・肺機能低下などの全身的廃用によるもの、起立性低血圧などの臥位・低重力によるもの、知的活動低下などの感覚・運動刺激の欠乏によるものに大別できるが、実際にはこの4者はほとんど常に同時に存在しており、相互に影響していると考えるべきである。

 

予防のために大切なことは、身の周りの動作は介護を要する場合でも出来るだけ自分で行い、家事や趣味等の活動や社会参加等もできることは積極的に行うようにしていくことが必要となります。特に高齢者では廃用症候群を起こしやすく、また一旦起こしてしまうと、廃用症候群の症状が原因となって、さらに体を動かさなくなり、そのことがさらなる廃用症候群の進行を招いてしまうという「悪循環」に陥りやすくなってしまいます。

 

一般的には筋萎縮、骨萎縮、関節拘縮、起立性低血圧、褥瘡、尿路結石、深部静脈血栓症、抑うつなどの症状があり、これらの機能低下は、原因疾患による機能低下や形態の変化と区別するために、二次的障害と呼ばれます。人間の身体的・精神的機能は使わないと衰えて行くことが知られています。 

 

廃用症候群は、ごく軽微な疾患や外傷を契機としてその治療に伴う安静、活動性低下、また疾患でなくても単なる運動不足が身体機能を低下させそれ自体が身体運動を困難にし、生活の不活発化をまねくという形で悪循環を形成して進行していく。例えば健康な人であっても、ベッド上で安静臥床を続けていると、下肢の筋力は1週目で20%、2週目で40%、3週目で60%も低下すると言われています。

 

その他にも使わないことによって出現する症状としては、「骨が弱くなる」、「心臓や肺の機能が低下する」、「床ずれ」、「痴呆や抑うつなどの精神症状」など非常に多く、これらは、「廃用症候群」と呼ばれています。 具合が悪いとただ安静にするの常識も場合によては間違っていることもあります。廃用症候群は、過度な安静など日常生活の活動量が低下したときに生じますが、これが寝たきりになる大きな原因と考えられているのです。

 

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